直前直左、聞いたことありますか? ジムニー&シエラの車検では、必ずといっていいくらい出てくる保安基準の重要ワードです。リフトアップしたり、純正よりも大きなタイヤを履かせた場合、直前直左視界は確実に悪化するため、車検に通らないケースも多々あります。なので、ちょっと知っている人なら対策していると思われますが、本当にそれで大丈夫なの? というのが今回のお話です。
車検でチェックされる直前直左ってこういうものです
直前直左の保安基準について軽くおさらいしておきましょう。直前直左とは、まさにその字のごとく、クルマのすぐ前方&すぐ左側方のエリアを指します。
車検では、そのエリアに高さ1メートル×直径30センチの写真のようなテスターを置き、運転席から視認できるかチェックされます。1ヶ所に置くのではなく、該当エリアをあちこち動かしながらチェックし、視認できないところがあればアウトとなります。
この高さ1メートルというのがポイントで、仮にこれが2メートルあったら必ず見えますし、1メートル50センチでも見えるでしょう。しかし1メートルです。ちょうど4〜5歳の子供くらいの高さです。直前直左って、クルマのすぐ前や横に小さな子供がいて、それが見えないとダメだよという法規なんです。
車高を上げれば上げるほど、見えにくくなるのは想像していただけるかと思います。
ドライブレコーダーの装着で車検対策はできるけれど…
当たり前ですが、純正の車高、純正のタイヤであれば、この直前直左視界の法規に引っかかることはありません。とはいえジムニーはもともと車高が高めなので、それほど余裕があるわけじゃないんです。特に「直前」の視界はシビアです。
その話に入る前に、「直左」はどうなの? というと、こちらは車高が上がっても純正のドアミラーでほぼカバーできます。10センチ近いリフトアップでもミラーに映るので、直左の方は対策なしでほぼ大丈夫と思われます。
やはり問題は「直前」です。参考までにジムニーのカスタムショップに、直前視界についての車検事情を尋ねてみたところ、
ちょいアゲ(約30ミリアップ)して、タイヤが185/85R16(外径720ミリ)くらいならギリギリ車検に通ってるよ〜
という回答がありました。つまり合計50ミリアップくらいなら通っている実例があるということです。実際に私も、1.5インチ(約38ミリ)アップ+185/85R16タイヤのデモカーをお借りして、車検用のテスターが視認できるか試したことがありますが、確かに見えました。が、かなりギリギリなんですよ。身長や乗車位置によっては見えなくなるレベル。車検の現場では一定の基準でチェックされるとは思いますが、これは検査官次第ではアウトでもおかしくないと思いました。
ということもあり、ちょいアゲでも念のため直前視界対策をしているジムニー&シエラ乗りは多いです。みんなマメだなぁと思われるかもですが、この対策って基本的にドラレコを付けるだけなんです。ただし、ドラレコが直前視界対策として認められるには下記のような条件があります。
簡単にいうと、目視できないならドラレコに映してその映像を見られたらOK、ということ。ドラレコはたいていフロントガラスの上の方に付けますよね。つまり視点が高くなるので、直前視界を確保しやすい。高さ1メートルのテスターも映るという仕掛けです(もちろん映らなかったらアウト)。
なお、映像はリアルタイムに映れば表示画面は大きくても小さくてもいいので、直前直左対策として導入するなら、モニター付きのドラレコを選ぶ人がほとんどです。もちろんナビにドラレコ映像を出力したり、別体モニターを用意して、そこに映るようにしても問題ありません。
ですが、ドラレコの画面なんて普段見ますか? 車検はクリアできたとしても、それが本当に実用的なのかは、正直疑問が残るところです。ドラレコの種類や取り付け位置、車高によっては、そもそもテスターがドラレコの視野角に入らないこともあります。足まわりとタイヤを合計して10センチアップクラスになると、おそらく厳しいでしょう。そういう意味でも、ドラレコは直前直左対策として万能ではありません。
Sマークにピタッとさり気なく寄り添うフロントカメラ
車検はもちろんのこと、実用面まで考えてマジメに直前視界を何とかしたい。そんな人におすすめなのがデータシステムのエンブレムフロントカメラキットです。フロントグリルのSマークに合わせ、その右下に寄り添うように装着できるのが特徴。カメラをマウントするカバー部分は、純正グリルと質感を合わせたマットブラック塗装済みなので、ほとんど目立ちません。
ドラレコと違ってカメラ位置はフロントグリルの真ん前。まさに直前です。カメラ自体も水平画角180度の広角タイプなので、直前エリアを確実にカメラの視野に収めることができます。たとえ10センチ以上車高が上がっていても、例のテスターは間違いなく視野角に入ります。
カメラの配線は、カーナビの外部入力と繋げばナビに映像を映せますし、別体のモニターを用意してそちらに映してもOK。いずれの方法でも直前視界は確保できるので、車検対策はバッチリ。このカメラキットを装着して車検を通した例も、さまざまなショップさんで確認済み。正しく装着できてさえいれば問題ないでしょう。
そして何より、「目視では見えないところまで見える」という、フロントカメラ本来の機能を忘れてはいけません。実際にモニターに映した画面を紹介します。
正面だけでなく、ほぼ真横まで視野が広がっていることが分かりますね。見通しの悪い十字路なんかだと、一時停止線を超えてギリギリまで前に出ないと左右確認できなかったりしますが、このフロントカメラならその手前で確認できます。
垂直画角は110度。地面もよく見えます。オフロード走行では間違いなく有用ですし、キャンプ場まわりのデコボコ道を走る時なんかも役立ちそう。狭い駐車場に停める時、ギリギリまで前に寄せたい時などにも便利でしょう。運転技術にあまり自信がないという人には、心強い味方になってくれそうです。
仮にドラレコ映像をモニターに出力したとしても、ここまで実用的な広い視野は望めません。フロントグリル中央にカメラを装着しているからこそです。価格は定価で2万円強、取り付け工賃もおそらく1万円以内でしょうから、すでにナビが付いているクルマなら3万円前後で導入できます。
Sマークはいらない? だったらマークレスグリルとセットもあります
エンブレムフロントカメラは魅力的だけど、あのSマークはいずれなくしたいんだよなぁ…という人もいるでしょう。大丈夫です。データシステムにはこんな商品もあります。
マークレスグリル+フロントカメラのセット。グリルはシンプルで力強い4本フィンタイプで、大型SUVを彷彿させる迫力のデザインです。そして中央には小さなフロントカメラを内蔵。遠目からだとほぼ気になりませんし、近づいて見ても違和感なく埋め込まれているので、仕上がりはごく自然です。
スタイルアップと機能性アップを両立させたデータシステムの人気商品です。視野角などカメラとしての機能はエンブレムフロントカメラキットと同等。水平画角180度、垂直画角110度です。
フロントグリルをカスタムしたいと考えていたジムニー&シエラオーナーは、直前直左対策も兼ねてぜひ導入を検討してみてはいかがでしょう。