ここ最近、ジムニー乗りの間で何かと話題の後部突入防止装置の件。2021年9月以降に生産されたジムニー&シエラは、それ以前よりも格段に厳しくなった新基準が適用されるため、「リフトアップできなくなる?」「車検が通らなくなる?」など不安になっているユーザーもおられるかと思います(後部突入防止装置の新基準についてはこの記事で詳しく紹介しています)。
そんな人に1つの対策方法として提案したいのが、オフロードサービスタニグチの「リアアンダーバンパー」。5インチアップなど、よほど強烈なリフトアップをしていない限り、これを装着すれば後部突入防止装置の新基準はクリアできます。ただし、どんな仕様にも付けられるわけではないので、その辺の事情も含めて詳しく紹介していきます。
ちょっと難しいけど、こんな解釈で新基準をクリアできるパーツです
誤解なきように最初にいっておくと、このリアアンダーバンパーは後部突入防止装置ではありません。新基準のクリア条件をカンタンに噛み砕いていうと、JB64Wジムニー/JB74Wジムニーシエラの場合は以下のようになります。
この①と②の条件の内、どちらか片方でもクリアできたらOK、どちらもクリアできなければNGなので別に後部突入防止装置を付けて下さいよ、というものになっています。
今回紹介するタニグチのリアアンダーバンパーは、装着することで②の条件をクリアできる商品になっています。つまり扱いとしてはリアのサブバンパーといったところ。サブでもリアバンパーに変わりはありません。
といっても、単にそれっぽいバーを適当に付ければOKというわけではなく、サイズや取り付け位置などに細かな規定があります。タニグチのリアアンダーバンパーは、その辺りをしっかりクリアした商品になっています。規定についてはだいたい以下の通りです。
※以下はサブバンパーを装着する場合の規定ではなく、リアバンパーを「後部突入防止装置に相当するもの」として扱う場合の規定をサブバンパーに当てはめたものです
う〜ん、ちょっと難しいですよね。しかし、これがよく分からなくても問題ありません。本当に大事なのは実際に車検に通るかどうかです。
タニグチのリアアンダーバンパーを付けて車検に通ったジムニー/シエラがいるのか? 2021年9月から3年と1ヶ月。これを装着して初車検を受けた例もきっとあることでしょう。手っ取り早くオフロードサービスタニグチに直接問い合わせてみたところ、「当社のデモカーを含め、知っている範囲ではすべて後部突入防止装置の新基準をクリアして車検に通っていますよ〜」とのこと。
もちろん日本全国のすべての装着車が通ったのかは不明です。地域差もありますし、現場の検査官によっても判断に違いがあったりします。通らない可能性もゼロではありません。それでも複数の事例で車検をパスした話を聞けたということは、信頼性は高いとみてよいのではないでしょうか。
中央を曲げて車体側に潜り込ませ、“取って付けた感”のない仕上がりに
それでは改めてタニグチのリアアンダーバンパーをご紹介していきます。取り付け前の商品はこんな感じです。
素材はスチール製。パイプ径は42.7ミリ、板厚は2.3ミリ。黒の粉体焼付塗装で仕上げられた無骨な一品。色味としては半ツヤブラックといった感じです。車検では特に強度チェックの規定はないのですが、「せっかくならマフラーガードやバンパーガードとしても機能するモノを」ということで、かなり頑丈に作られています。タニグチ製品らしいですね。
JB64Wジムニー用とJB74Wジムニーシエラ用の2タイプがあり、上の写真はJB64Wジムニー用です。JB74Wジムニーシエラ用はトレッドが広い分、少しワイドに作られており、左右エンド部がストレートに伸びる仕様になっています(JB64Wジムニー用は左右エンド部を若干車体側に曲げています)。
デザインのポイントとしては、中央を大きく湾曲させているところ。横一文字のようなストレート形状だとけっこう目立ってしまいそうですが、中央を車体側に潜り込ませるようにしてボディに馴染ませています。「いかにも追加しました」という雰囲気にならないのは嬉しいポイントですよね。バータイプのサイドステップとも相性が良さそうです。
ちなみに、車体後端(リアバンパー)からリアアンダーバンパー湾曲部分までの水平距離は320ミリ〜350ミリくらい。車体の後端から450ミリ以内に収まらないといけない規定もクリア。そこまで考えて綿密に設計されているんです。
※ジムニーシエラの場合、スペアタイヤブラケットが車体後端になるため、車体後端〜リアアンダーバンパー湾曲部分までの水平距離が450ミリ以内に収まらない可能性があります。車検の際はスペアタイヤブラケットを外していくことをオススメします
取り付けはボルトオンでカンタン。ただしマフラーの干渉には要注意
取り付けには純正のタイダウンフックを使用。リアアンダーバンパーと付属の当板でタイダウンフックを挟み込むようにフランジボルトで固定するだけ。加工なしのボルトオン装着です。作業としてはかなりカンタンな部類で、DIY初心者でもやれるハズです。
ただし、装着にあたってはいくつか条件があります。仕様によってはマフラーやリアバンパーに干渉する可能性があるので、それを避けなくてはなりません。
まずはマフラーからご説明しましょう。残念ながら純正マフラーのままでは干渉してしまいます。当たるのはマフラーの先端部分だけなので、そこを2〜3センチほどカットすれば取り付けは可能です。これくらいであれば音量や排ガス等にも影響はなく、おそらく車検も問題ないとは思いますが、後戻りはできないのでよくご検討下さい。
純正マフラーをカットしたくないのであれば、タニグチ製のコンペマフラーRに交換すれば、リアアンダーバンパーをかわせます。もちろん加工は不要です。
一方、同じタニグチ製でもエクシードマフラーだと干渉するのでご注意を。エクシードマフラーは純正リアバンパー対応品です。他の社外マフラーを付けている場合も、純正リアバンパー対応品だと当たってしまう可能性が高いです。
タニグチ以外の社外マフラーの場合、どれなら付く/付かないは検証できておりませんが、リアアンダーバンパーの設計上、パイプの取り回しがタイダウンフックに近いものだと当たる可能性が高いです。
続いてリアバンパー。タニグチのリアアンダーバンパーの導入を考えている時点で、純正リアバンパーをそのまま使われる人はいないと思いますが、念のため純正リアバンパーと併用は不可です。
とはいえ、純正リアバンパーとリアアンダーバンパーを同時に装着しようとした場合、「ギリギリ当たる」くらいの感じですので、純正リアバンパーより少しでも薄型の社外リアバンパーであれば、当たらない可能性は高いです。もちろん、タニグチ製のダブルリアバンパーやFRPリアバンパーとリアアンダーバンパーも、リアアンダーバンパーと併用可能です。
5インチ以上のリフトアップでは新基準をクリアできない可能性あり
リフトアップ量との関係についても触れておきます。ほとんどの場合、タニグチのリアアンダーバンパーを装着することで、冒頭で述べた「リアバンパーから地面まで550ミリ以下であること」をクリアできますが、それにも限度があります。
参考までに、オフロードサービスタニグチで製作した車両の一例を挙げておきます。
サスペンションで60ミリアップ+タイヤは205R16を装着した場合、
リアアンダーバンパーから地面までは約490ミリになりました
上記の例だと、タイヤ外径分を含めた計算上の合計リフトアップ量は約88ミリ。それでもリアアンダーバンパーから地面までは約490ミリなのですから、550ミリまでまだ60ミリ余裕があります。
となると、合計リフトアップ量は約148ミリまで対応できるという計算になります。車両の個体差や測定誤差もあると思うので、この数値はあくまで参考までにしていただきたいのですが、おそらく4インチアップ+それなりに大きなタイヤを履かせてもギリギリセーフかな、といったところ。
しかしそれ以上は厳しい。5インチアップ+大径タイヤだとおそらくアウトでしょう。タニグチのリアアンダーバンパーを装着して後部突入防止装置の新基準をクリアできるのは、4インチアップまでと考えた方が良さそうです。
最後にリアアンダーバンパーの納期ですが、人気商品につき、現在はオーダーから納品まで1ヶ月〜1ヶ月半ほど掛かるようです。車検対策として導入を考えている方はお早めにどうぞ!